優雅な音色で聴衆を魅了 諏訪の大手見番で邦楽コンサート

諏訪市大手の芸者取り次ぎ事務所「大手見番(けんばん)」で23日、邦楽コンサートが開かれた。中野市の福原鶴花さんが鳴り物を、駒ケ根市の大庫(おおくら)こずえさんが三味線と琴を演奏。優雅な音色で10曲演奏し、約30人の聴衆を魅了した。


 この事務所を利用して、諏訪大手見番協同組合が2008年4月から芸者養成のために邦楽教室を開設しているが、本格的なコンサートを開くのは初めて。同教室に通う小川哲男さん(82)=茅野市ちの=が2人と知り合いだった縁で実現した。


 大庫さんは、落語を題材としたり、終わりから読んでも同じ音になる「回文」を交えたりした歌などを三味線を弾きながら披露。福原さんが太鼓や小鼓で加わった。小川さんもギターの弾き語りで共演し、懐かしの「古賀メロディー」や石川啄木の短歌を歌詞にしたオリジナル曲も弾いた。


 観客の中には目を閉じて音色に聞き入る姿も。夫と一緒に訪れた諏訪市の70代の女性は「昔、よく聴いた音色でとても懐かしかった。いい機会になった」と笑顔。小川さんは「日本人の感情や感性を伝えたかった。楽しい一夜を過ごせた」と話していた。


信濃毎日新聞より