甲府市立北中学校3年の矢崎航一さん(14)は、小6の頃から尺八を習っている。同級生の親戚で、邦楽をやっている女性から誘われた。学校で習うリコーダーと違って息の使い方が難しく、最初はスースーと音がするだけ。初めてまともな音が出せたのは、2〜3週間経ってからだった。

 「こつこつ続けないと音が出ないし、音が出てからも1、2日練習しないと音色が変わってしまう。毎日続けることの大切さを感じています」。新年度の決意を、尺八の練習になぞらえてつづった。

 「和」のものが大好きだ。お菓子はケーキよりも金つばや最中、ようかんが好物。週に1回、書道教室に通う。今どきの中学生には珍しく、携帯電話やゲームには興味がない。「同級生はLINE(ライン)とかでつながっているみたいだけど、特に不便は感じません」

 何度かバドミントンの部活仲間の前で尺八を奏でたことがある。「しぶいね」と言われるのが「すごくうれしい」と顔をほころばせる。「春の小川」や「茶摘み」など、今では10曲ほど吹けるようになった。

 「あまり口数は多くないのですが、尺八は自分を表現する方法の一つなのかも知れません」と母の直美さん(47)。

 17日に尺八の発表会がある。二重奏を披露するので、気合を入れて練習に励む毎日だ。いよいよ受験生。「簡単な曲を吹いたり文字を書いたりすると、気分がすっきりする」。尺八と書道は、時間を見つけて続けていくつもりだ。(芳垣文子)