趣ある町家や蔵で和楽器に親しみたい−。台東、文京の両区にまたがる谷根千地区(谷中、根津、千駄木)で、尺八や琵琶の体験教室が人気を集めている。買えば高額の和楽器を自作し、演奏方法まで教わることができるのが魅力だ。下町の風情がある谷根千地区の街歩きをきっかけに参加した人が少なくない。 (竹上順子)
 「口先だけでなく呼吸で体と竹がつながったイメージで吹くといい」。台東区谷中五にある築九十年の町家「間間間(さんけんま)」で、「ルーツ尺八BambooWay」主宰者のデゥさんこと土屋英之さん(45)らは、参加者に語りかけていた。十年前に始まり、毎週月曜の昼から夕方まで、尺八を作って吹くワークショップを開いている。
 あらかじめ乾燥させた竹を使い、端を斜めに切り、穴を開ける。出来上がって早速吹いてみても、すぐに音が出るのはまれ。息の吹き込み方や尺八を傾ける角度を変え、参加者は無心に取り組む。
 デゥさんから指導を受け、ともに活動している川村航さん(41)は「尺八は二十万〜三十万円するが、ワークショップの参加費は二千円。気軽に立ち寄って」と話す。
 買えば数十万円の琵琶に触れられるのが、薩摩(さつま)琵琶奏者の川嶋信子さんによる「まなびわ」。文京区千駄木五にある大正期の蔵で一昨年秋に始まり、毎月二十二日に開いている。
 定員は六人。川嶋さんが平家物語などの一部を演奏した後、琵琶の歴史を簡単に説明。二〜三人で一つの琵琶を使って演奏に挑戦する。ばちや琵琶の持ち方に始まり、弦のたたき方や譜の読み方、語りの声の出し方まで約一時間半で習う。世田谷区から友人と来た女性(56)は「音が出ただけでもうれしい」と声を弾ませた。川嶋さんは「この街には琵琶の音がよく似合う。街歩きを楽しむついでに来て」と話す。
 問い合わせは、まなびわ=電090(5996)9137。尺八はメール(koya.com_so@hotmail.co.jp)で。