一日一日を大切に 「未来塾」山崎直子さん

東日本大震災からの復興を願う支援活動「未来塾」(産経新聞社主催、アラコム株式会社協賛)が11日、福島県郡山市仙台市で行われた。第2回講師はJAXA宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士、山崎直子さん(40)。津波に襲われた仙台市若林区の沿岸部を視察した山崎さんは「多くの方にお世話になって宇宙に行ったので、これからは多くの人をサポートしたい。被災者の方々が一歩一歩前進されていくことを願っています」と復興へのエールを送った。

 山崎さんは沿岸部の荒浜小学校などを視察した後、約150人が避難している六郷中学校体育館を訪問。昨年4月にスペースシャトルディスカバリー」に搭乗し、国際宇宙ステーションISS)の組み立てミッションに参加した際の活動をまとめたビデオを上映しながら、ISSでの暮らしぶりや宇宙で行った実験などを紹介した。

避難所となっている六郷中学校で宇宙での体験などについて講演し、避難所で生活を送る人たちにエールを送った山崎直子さん(右)=11日午後、仙台市若林区(渡守麻衣撮影)
10日からISS滞在が始まった同僚の宇宙飛行士、古川聡さんにも触れ、「私も古川さんも宇宙に行くまで10年以上かかった。いつ宇宙に行けるのか、と不安な気持ちで訓練に励んでいたが、一日一日の積み重ねがいつか、どこかでつながると信じていた」と打ち明け、「みなさんも一日一日を大切にして、元気になられますよう願っています」と励ました。

 避難者の手を一人一人握り締めて語りかける山崎さんに、遠藤藤雄さん(59)は「避難所では疲れて眠っても、よく眠れない。宇宙もそうなんですか?」などと話しかけ、交流を楽しんだ。

 山崎さんと握手をした相沢和男さん(70)は「やわらかい手だった。あの手で宇宙で活躍してきたんだね。話を聞いてたら、これからでも宇宙に行ってみたくなるよ」と、宇宙飛行士を身近に感じていた。

 この日午前、山崎さんは郡山市の避難所になっている市青少年会館を訪問。福島第1原発事故の影響で帰宅のめどがたたない南相馬市の木幡サト子さん(75)は「がんばれ、がんばれ、って言われ続けて3カ月。一体、いつまでがんばればいいの、という気持ちだったが、山崎さんが10年も地道に訓練に費やしたと聞き、私ももう少しがんばれるかな、と思う」と笑顔を見せた。

 山崎さんは震災の影響で閉鎖している仙台市青葉区仙台市科学館も訪れて講演し、震災発生時刻の午後2時46分には入場者とともに黙とうした。

避難所となっている六郷中学校で宇宙での体験などについて講演する山崎直子さん(右)=11日午後、仙台市若林区(渡守麻衣撮影)

避難所となっている六郷中学校で宇宙での体験などについて講演する山崎直子さん(右奥)=11日午後、仙台市若林区(渡守麻衣撮影)

避難所となっている六郷中学校で宇宙での体験などについて講演する山崎直子さん=11日午後、仙台市若林区(渡守麻衣撮影)

避難所となっている六郷中学校で宇宙での体験などについて講演し、避難所で生活を送る子どもたちの求めるサインに応じる山崎直子さん(左)=11日午後、仙台市若林区(渡守麻衣撮影)

福島県郡山市の避難所を訪問した宇宙飛行士の山崎直子さん =11日午前、福島県郡山市青少年会館(松本健吾撮影)

参加者に語りかける宇宙飛行士の山崎直子さん =11日午前、福島県郡山市青少年会館(松本健吾撮影)

参加者からの質問に答える宇宙飛行士の山崎直子さん =11日午前、福島県郡山市青少年会館(松本健吾撮影)

参加者と一緒に記念撮影する宇宙飛行士の山崎直子さん(中央奥)=11日午前、福島県郡山市青少年会館(松本健吾撮影)

参加者に語りかける宇宙飛行士の山崎直子さん =11日午前、福島県郡山市青少年会館(松本健吾撮影)
撮影場所:福島県郡山市宮城県仙台市
msn産経ニュースより