芸術選奨新人賞の藤井昭子、地歌ライブ あえて小空間で

2010年度の芸術選奨新人賞を受賞した、地歌箏曲(そうきょく)演奏家の藤井昭子=写真=が、6月6日午後7時から東京・本郷の求道会館で、演奏会「第54回地歌ライブ 宮城道雄〜現代箏曲の天才が描いた古典の世界」を開く。

 地歌の家に生まれ、祖母の阿部桂子、母で人間国宝の藤井久仁江(くにえ)に厳しい稽古を受けた。3歳から琴、8歳から三味線を仕込まれ、若くして地歌の分野で存在感を発揮、海外公演も数多く経験した。2001年から2か月に1回のペースで、狭い空間での「地歌ライブ」を続け、ファン層の開拓に努めている。

 「地歌に親しんでもらうため、最初は50人ほどの客しか入らない空間で演奏を始めた。『真面目にやりなさい』という母の教えを守って演奏してきた」と話す。「勉強会」の意味も込め、観客を100人に絞る。

 08年には第28回伝統文化ポーラ賞の奨励賞を受賞した。「母が亡くなって心の支えを失い、心細い時期だったので受賞は励みになった。その一方、より精進しなくてはという芸の怖さも感じた」

 ライブでは、宮城道雄が作曲した「春の夜」や、古典に手を加えた計3曲を演奏する。塚本徳、高畠(たかばたけ)一郎、田辺頌山(しょうざん)が共演。(電)03・6421・1514。

(2011年4月25日 読売新聞)