幻の塩田作業唄 再現

尺八奏者・田尾さんら  14日、坂出でコンサート
坂出市や宇多津町の塩田で職人が歌っていた作業唄(うた)を紹介するコンサートが14日、同市京町の市民ホールで開かれる。専売制導入による塩田の廃止とともに廃れ、資料がほとんど残っていない作業唄を、地元郷土史家らが録音テープを基に復元。当日は元職人もゲストに招き、往時の思い出を語ってもらうという。

 作業唄を現代によみがえらせたのは、尺八奏者の田尾勝さん(67)(坂出市駒止町)。1955年に市内で開催された民謡発表会のテープを2年前、録音した郷土史家川畑迪(すすむ)さん(86)(同市神谷町)から借りたところ、タイトルなどから“幻”とされた作業唄が収録されていることに気付いた。

 おけを担いで海水を運びながら歌った「水かえ唄」、貯水穴の補修作業での「手つき唄」、くわをひいて塩田に畝を作る時の「浜曳(ひ)き唄」の3曲。いずれも職人が口伝えで継承していたため楽譜などは残っておらず、72年に塩田が姿を消すとともに人々の記憶からも失われた。

 田尾さんは歌詞を書き取り、民謡愛好家グループに録音を聴いてもらい、メロディーや歌詞の抑揚などを再現。当日は作業の様子も舞台で演じ、コンサートは録画して資料として保存する予定という。「炎天下で作業していた様子が、目に浮かぶコンサートにしたい」と田尾さん。「若者にも塩田の歴史を知ってもらうきっかけになれば」と話している。


本番に向けて動きなどの練習に励む民謡愛好家ら(坂出市で)
読売新聞より