音楽通じ復興支援 全国楽器協、坂本龍一氏が「基金」

全国楽器協会(会長・梅村充ヤマハ社長)と音楽家坂本龍一氏は20日、都内で会見し、東日本大震災で被災した学校の楽器を修理する「こどもの音楽再生支援プロジェクト『School Music Revival』」を始動した、と発表した。活動資金とする「こどもの音楽再生基金」を同日設立し、寄付への協力も呼び掛けた。
 プロジェクトのキャッチフレーズは「音楽と楽器の力で子供たちに笑顔を」。震度6弱以上で、津波被害の大きかった岩手、宮城、福島3県の幼稚園から高校まで約1850校を中心に、ピアノやオルガン、打楽器、管楽器などを無償で点検、修理、補修するとともに、修理不能な楽器の購入費用を補助したりコンサートなど音楽活動を支援したりする。
 基金は発起人代表に梅村会長、発起人には坂本氏や、全国楽器製造協会会長の河合弘隆河合楽器製作所社長ら4人が名前を連ねた。当初予算を3億円と見積もり、一般や団体、企業から寄付を募る。既に会員企業が1千万円を拠出した。活動は3年間を想定している。
 梅村会長は、被災地の楽器店が業務再開を目指す傍ら始めた楽器修理を業界全体で支援することに決めたと説明。「ピアノやオルガンが損傷を受け、演奏を楽しむ機会を失った子供が多くいる。一刻も早く、子供たちが笑顔になれるよう支援したい」と語った。
 一方、坂本氏は音楽家としての復興支援をヤマハに相談し、プロジェクトに至ったと説明。「人間は水や食べ物だけでなく、音楽や言葉も絶対必要な生き物」と強調し、長期的な支援を約束するとともに、12月末に開催を予定する同プロジェクトのチャリティーコンサートに出演する意向も示した。