清元、88年ぶり共演 2大流派統合へ流れできるか

袂(たもと)を分かっていた清元2大流派の名跡が88年ぶりに同じ床で演じる。七世延寿太夫浄瑠璃)と四世梅吉(三味線)が共演する「清元 清き流れひと元に」が、24日午後6時から東京・三宅坂国立劇場大劇場で行われる。邦楽界にとって画期的な公演だ。

 明治から大正時代にかけて、五世延寿太夫と二世梅吉は名コンビとうたわれたが、三世梅吉の代に五世延寿太夫と不和が生じ、以来、流派を異にした。延寿太夫が高輪派、梅吉は梅吉派と呼ばれ、別々に活動してきた。

 梅吉は「六世延寿太夫とも共演の話があったが、実現する前に亡くなられた。長い歳月の溝を越えるには、トップ同士の個人的な話では事が進まない。共演を期待する声が高まってきて、話がまとまった」と話す。延寿太夫も「いつかできたらと思っていた」と声を合わせる。

 曲は、二世梅吉が作曲した大曲「隅田川」のほか、「四季三葉草」「お祭り」を披露する。

 梅吉は「目玉となる聴かせもの、お祝いもの、踊りの3曲をそろえた。『隅田川』を選んだのは、二世梅吉が作曲し、五世延寿太夫が改曲したゆかりの作品だから」。

 延寿太夫が「『隅田川』は五世延寿太夫の語ったレコードが残っている。すごい名演。それを参考にして、少しでも近づけたら」と話せば、梅吉も「私もそのレコードを聴いてあまりの素晴らしさにショックを受けた。基になる演奏が同じだから、久しぶりにいっしょにやっても大丈夫」という。

 1月から練習を重ねてきたが、息はぴったり合っている。

 延寿太夫は「野球で言えば、梅吉さんとバッテリーを組んだ時に、指示通りに投げられると思う。気持ちよく歌っていけたらいいが、曲を運んでくれるのは三味線の役割」。梅吉は「女房役として、歌の人をいい気持ちにさせられたら満足。『隅田川』ほどの大曲になると、どこで手綱を締め、どこで緩めるかのドラマづくりが三味線の役目です」。

 これを機に、二つの流派の統合へ向けた流れができるかもしれない。延寿太夫は「新たなスタートを切って、これから第一歩です」。梅吉は「新しい組み合わせで、清元がどれくらい変化するか。それをわかってくださる方にたくさん来ていただきたい」。

 チケット残りわずか。電話03・5478・8533(NHKエンタープライズ内 芸の真髄制作委員会)

清元梅吉(右)と清元延寿太夫
asahi.comより